- 著者
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小澤 瀞司
- 出版者
- 群馬大学
- 雑誌
- 一般研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1990
中枢神経系のグルタミン酸受容体チャネルは、NMDA型、AMPA/カイニン酸、(KA)形、KA選択型の3種類に分類される。このうちAMPA/KA型は、AMPAとKAのいずれに対しても感受性を示し、分子生物学的にはGluR1-GluR4という4つのサブユニットのいずれかの組合せで構成されている。本研究では胎生17-19日のラット胎児より得られた培養海馬ニューロンを対象としてAMPA/KA型受容体の諸性質とその発達について調ベ、次のような知見を得た。1)馬海ニューロンは培養後7日目頃から、AMPA、KAに対して感受性に示し始め、その後ニューロンの発達に伴い反応は増大していく。この反応はAMPA/KA型受容体の活性化によるものでKA選択型受容体の関与はほとんどない。2)AMPA/KA型受容体は、外向き整流特性とCa^<2+>透過性をもたないI型、および強い内向き整流特性と高いCa^<2+>透過性を示すII型に分類される。Reverse-transcription(RT)-PCR法により、それぞれのサブニユット構成を調ベた所、I型はGluR1、GluR2サブユニットからなり、II型はGluR1、GluR4サブユニットからなることが明らかになった。3)II型のAMPA/KA型受容体は小型の介在ニューロンに特異的に発現した。このニューロンはGADをもつことからGABAを産生する抑制ニューロンと考えられる。4)培養条件下でCA3/CA4野ニューロンとCA1錐体細胞の間で興奮性シナプスを形成させると、CA1ニューロンからはやい時間経過の興奮性シナプス後電流(EPSC)と持続時間の長いEPSCの両方が記録された。前者はAMPA/KA型受容体、後者はNMDA型受容体の活性化によるものであった。シナプス形成後のCA1ニューロンの尖端樹伏突起上にはAMPAに対して著しく感受性の高い部位が局在した。はやい時間経過のEPSCはその整流特性からほとんどI型受容体の活性化によるものと結論された。