著者
矢嶋 宏光 小瀬木 祐二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00045, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
15

各地で具体化が進むスマートシティ構想では,行動履歴などのパーソナルデータを用い行動変容を促すなどの革新的な取組みが試みられている.パーソナルデータの利活用では,データ漏洩やプライバシー侵害などのリスクへの懸念がデータ提供への消極的な姿勢に繋がっていると考えられ,新たな問題解決手段として期待が高まるこれらの革新的な取組みにとって大きな障害となりかねない.本論では,土木インフラ整備における市民合意形成の経験に照らし,データ利活用に関する不安要因と対応策についての意識調査を分析し,ELSIの観点から革新的技術の社会受容について考察した.データ漏洩等のリスクに限らず,データ利活用が社会に及ぼす影響への懸念も大きな不安要因となっていることや,不安払拭の対策として参加型のルール形成の重要性が見出された.