著者
小熊 博史
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.219-228, 1996-07-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
37
被引用文献数
1 1

越後平野周辺の旧石器時代および縄文時代の遺跡について,沖積低地の様相を中心に,当時の地形や環境を考慮しながら,立地とその変遷を検討した.越後平野周辺の丘陵を含む全域的な分布と,さらに海岸部を対象にした分布をまとめることによって,遺跡立地と変遷の状況を具体的に明らかにした.その結果,沖積低地への進出の画期は縄文時代前期に求められ,縄文時代後・晩期には分布域が沖積地側に移行する傾向をとらえることができた.また,沖積低地において,縄文時代前期以前の古い遺跡が空白に近い分布を示すことについて,それらの遺跡が越後平野に厚く堆積する沖積層中に埋没している可能性を指摘した.