著者
加藤 敏英 矢田谷 健 石崎 孝久 伊藤 貢 小田 憲司 平山 紀夫
出版者
日本獸医師会
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.127-130, 2008 (Released:2011-01-19)

トルアジン誘導体であるトルトラズリルの牛コクシジウム病発症予防効果および安全性を調べることを目的に、168頭の子牛を用いて投与試験を実施した。その結果、有効性試験(n=134)では薬剤投与群(n=67)の発症率(0%)が無投与対照群(n=67)のそれ(38.8%)に比べ有意に低かった(P<0.01)。また、薬剤投与群のオーシスト排泄率およびOPG値は投与後4週までは無投与対照群に比べ有意に低く(P<0.01)、便性状や下痢便排泄率でも顕著な差が認められた。いっぽう、安全性試験(n=168)では薬剤投与群(n=84)と無投与対照群(n=84)でそれぞれ19.0%、26.2%の個体に呼吸器症状がみられたが、薬剤投与に起因する有害事象はみられなかった。以上のことから、トルトラズリル5%経口液は牛コクシジウム病発症を抑え、臨床的に有用性が高い薬剤であることがわかった。