著者
加藤 千恵子 高岡 哲子 鹿野 友恵 小田 明美
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.17-25, 2010-03

本研究では、小学第5学年37名を対象に命の授業を行い、独自に作成した自己概念とジェンダー・アイデンティティに関連した質問紙を用いて、授業の前後における変化と男女別の特徴について調査した。その結果、授業前は「違う性別の方が幸せだ」「不満があると聞いてくれる人がいる」という2項目に性差が見られ、授業後は授業前の項目に加えて「この性別に生まれて良かった」、「将来赤ちゃんが欲しい」、「元気がないと気づいてくれる人がいる」、「私の存在を認めてくれる人がいる」の6項目に増えた。男女別の詳細を見ると、男子は女子に比べ有意に「この性別に生まれて良かった」とする割合が高く、自己の性別に関して肯定的であるという特徴があった。一方、女子は男子に比べ有意に「違う性別の方が幸せだ」、「将来赤ちゃんが欲しい」、「不満があると聞いてくれる人がいる」、「元気がないと気づいてくれる人がいる」、「私の存在を認めてくれる人がいる」とする割合が高く、母性意識の目覚めや周囲のサポートや尊重してくれる存在に気づくという特徴があった。すなわち、性別によって自己の性に関する認識の違いが明確になっていくことが示唆された。