著者
加藤 千恵子 高岡 哲子 鹿野 友恵 小田 明美
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.17-25, 2010-03

本研究では、小学第5学年37名を対象に命の授業を行い、独自に作成した自己概念とジェンダー・アイデンティティに関連した質問紙を用いて、授業の前後における変化と男女別の特徴について調査した。その結果、授業前は「違う性別の方が幸せだ」「不満があると聞いてくれる人がいる」という2項目に性差が見られ、授業後は授業前の項目に加えて「この性別に生まれて良かった」、「将来赤ちゃんが欲しい」、「元気がないと気づいてくれる人がいる」、「私の存在を認めてくれる人がいる」の6項目に増えた。男女別の詳細を見ると、男子は女子に比べ有意に「この性別に生まれて良かった」とする割合が高く、自己の性別に関して肯定的であるという特徴があった。一方、女子は男子に比べ有意に「違う性別の方が幸せだ」、「将来赤ちゃんが欲しい」、「不満があると聞いてくれる人がいる」、「元気がないと気づいてくれる人がいる」、「私の存在を認めてくれる人がいる」とする割合が高く、母性意識の目覚めや周囲のサポートや尊重してくれる存在に気づくという特徴があった。すなわち、性別によって自己の性に関する認識の違いが明確になっていくことが示唆された。
著者
加藤 千恵子
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
大分県立芸術文化短期大学研究紀要 (ISSN:13466437)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.87-104, 2003-12-26

現在,日本において,初婚年齢は年々上昇傾向にあり晩婚化が進んでいる.これを学歴別に見ると,高学歴層の者において顕著であることがわかる.その中でも調査・研究が少ない男性に注目し,彼らの結婚意思とそれに影響を与える結婚観について,個人別態度構造分析を用い,事例を通して検討した.その結果,従来の調査・研究において支持されている男性が結婚難に陥っているという結果は,本研究の高学歴の独身男性についてはあてはまらないことが明らかになった.対象者は自らの意思により結婚するか否かを選択しており,自分の理想とするライフスタイルと結婚によるライフスタイルの変化,結婚相手との価値観の一致などを真剣に考え,結婚に対する葛藤を抱き,結婚を躊躇していた.さらに,長時間労働により家庭生活と仕事での自己実現を両立させ難いためライフスタイルを決めかね結婚意思が低下するという可能性と,結婚を前提としないようなライフスタイルを選択しても生活に困らないため結婚に消極的になる可能性も示唆された.
著者
青木 滉一郎 小松 昭吾 鄭 宏杰 加藤 千恵子
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>There are some reports about effects of traditional dances in each country which have been utilized for health program mainly for elderly. However, few studies tried to organize knowledge about effects of the traditional dances on mind and body which was obtained through previous studies and practices. Therefore, this study gathered text data about case examples of utilizing the traditional dances for physical and mental health maintenance and promotion mainly from academic papers. Keywords characterizing the effects of the traditional dances were identified by morphological analysis on the text data and extracting frequent words. In addition, the effects were classified into some categories by data clustering based on appearance patterns of the keywords. Considering the results of text mining and various characteristics such as body movements and expressions of each traditional dance, influencing factors on psychological and physical effects were discussed.</p>
著者
加藤 千恵子 廣橋 容子 石川 貴彦 笹木 葉子 南山 祥子 佐々木 俊子 長谷川 博亮 結城 佳子 Cieko KATO Yoko HIROHASHI Takahiko ISHIKAWA Yoko SASAKI Shoko MINAMIYAMA Toshiko SASAKI Hiroaki HASEGAWA Yoshiko YUKI
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.63-76, 2018-03

妊婦100 人を対象にマイナートラブルの症状と指尖脈波の非線形解析の手法を用いて,妊娠前期,中期,後期の特徴を検証した。指尖脈波は,心の外部適応力(元気さ)の指標となる最大リアプノフ指数( LLE: Largest Lyapunov Exponent) と,交感神経と副交感神経の状態から自律神経バランス( Autonomic Nerve Balance)でストレスとリラックスの状態がわかる。その結果から,「理想ゾーン」36.3%,「準理想ゾーン」51.0%,「憂鬱ゾーン」3.9%,「本能のままゾーン」2.0% ,「気が張り詰めているゾーン」2.9%,「気が緩んでいるゾーン」3.9% の6 つの領域に分類できた。高ストレス者は3.0% が該当した。LLE 値の平均値は,妊娠前期5.18,中期4.84,後期4.05 で,妊娠経過に伴い心の元気度が有意に低下していた(p= 0.010)。また,疲労と抑鬱の測定値は有意に増加し(p= 0.027, p=0.006),リスクは増していた。妊娠初期のつわりの症状が,「倦怠感」「胃の不快」「面倒さ」に影響したことが示唆された。妊娠後期,一部の者は,経済的負担感が増していた。過去1か月間の疲労・不安・抑鬱の症状を自覚する割合に比べ, 現在の指尖脈波の測定値の方が有意に高く,疲労・不安・抑鬱のリスクは増していた。妊娠初期から人的・経済的基盤を中心とした支援を強化する必要がある。今後,妊婦健診などで指尖脈波やマイナートラブル評価尺度を活用して,可視化・客観視できる結果をもとに妊婦と共に振り返り,活用することが重要である。
著者
庄 熇亮 加藤 千恵子 土田 賢省
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.34, no.133, pp.2-7, 2014 (Released:2015-04-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

本研究では、大量で複雑な心理データを見やすくすることを目的とする。これまで、Webカウンセリングシステムの構築を行ってきている.その中でカウンセラーの支援として,カウンセリング履歴データを分かりやすく提示することが有用な支援機能となりうると判断した.また,個人のパーソナリティに関する情報もカウンセリングに役立つ情報であり,各種性格検査の結果を提示することも有用な支援機能と考えられる.しかし,これらのデータを単に数字の羅列のような形式で提示しただけでは,クライアントの特徴・状況を即座にカウンセラーが抽出することは非常に困難である.そこで,このような心理データを3Dグラフで可視化する手法を提案した.3Dグラフ表示はProcessingプロジェクトを用いて螺旋形状の表示を実現している.本3D螺旋表示をWebカウンセリング時の相談内容に関するデータ,各種性格検査(GHQ28,S−H式レジリエンス,内田クレペリン検査)のデータを応用した.