著者
小畠 翼 林 容市 高見 京太
出版者
日本スポーツパフォーマンス学会
雑誌
スポーツパフォーマンス研究 (ISSN:21871787)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.388-400, 2023 (Released:2023-12-07)
参考文献数
32

本研究では,中学生年代の陸上競技の中・長距離種目の競技者を対象に,3000 m 走Time Trial(以下,TT)に向けた7 日間のテーパリングを実施し,テーパリング開始から4 日目または6 日目というタイミングで1000 m走の刺激練習を実施した場合の3000 m走タイムおよび心理的な疲労の変化を比較した.刺激練習を3000 m 走の自己最高タイムの110%の強度で実施した結果,テーパリング期間の4 日目または6 日目に刺激練習を行っても,その後に実施した3000 m 走TT タイムには有意な差異は認められなかった.また,テーパリング期間の4 日目または6 日目に刺激練習を行っても気分プロフィール検査(POMS2)で測定した3000 m 走TT 当日の疲労尺度の得点が,テーパリング初日と比較して,有意に小さい値を示していた.これらから,中学生年代の競技者が,7 日間のテーパリングの中で4 日目または6 日目に刺激練習を行っても,TT 実施日には心理的な疲労度に差がなく,走パフォーマンスを維持できる可能性が示唆された.そのため,個人の疲労度などに応じて刺激練習の実施タイミングを柔軟に決定する必要性が示唆された.