著者
小笠原 みどり 松岡 淳夫
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1_98-1_102, 1987-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

臨床で広く用いられているディスポーザブル注射針は,プラスチックフィルムと紙を使用したブリスター方式のものが大半である。 注射準備における無菌性への考慮は重要であるが,ディスポ針の開封方法には統一されたものがない。臨床において作業上,能率的で多く行われているのは,針基部を紙部分に押しつけて,つき破る方法で,指定場所からフィルムを剥す方法は,あまり行われていないようである。そこで,この開封方法と汚染との関係を明らかにする目的で,包装紙面に菌液塗布による汚染を施し,上述の二方法で開封したのち,取り出した注射針について無菌試験を行った。 実験成績は,つき破り法ではめくり法の約9倍の汚染率で,しかも包装汚染の菌濃度と相関をもって,汚染されることが明らかとなった。以上より,完全な無菌が要求される場合には,つき破り法で開封し針を取り出すことは危険である,という結論を得た。