著者
小粥 宏美
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.189-196, 2019

<p>本稿は,双極Ⅱ型障害と診断された女子大学生との学生相談における面接経過と,認知行動療法を取り入れたかかわりについて報告する。本事例では,女子大学生の環境要因や気分の波に影響されやすい症状に対して,心理教育や活動記録表によるセルフモニタリング,価値のワークなどを取り入れたことにより,女子大学生は問題行動を視覚的に把握しながら,不快な気持ちにはとらわれずに物事に取り組めるようになった。さらには,不快な出来事を回避せずに行動レパートリーを増やしていくことが卒業を可能にし,その後の生活基盤を形成する行動に繋がったものと考えられた。</p>