著者
小菅 正太郎 徳永 義郎 和田 悦洋 伊藤 勇 高橋 春男
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.211-215, 2014

目的:イエロー着色アクリル眼内レンズ(IOL)のAN6K(KOWA社)は超音波乳化吸引術およびIOL挿入術において,術後屈折度がメーカー推奨A定数による予想屈折度よりも近視側にずれる.同レンズに対するA定数を算出した報告は未だ無く,今回AN6Kの当院パーソナルA定数を算出し検討を行った.対象:2008年7月より2009年4月までにAN6Kを嚢内に挿入後2か月以上経過観察し,超音波Aモード法およびIOLマスター<sup>TM</sup>の両方で眼軸長測定可能であり,その結果が22.0mm以上24.5mm未満の標準眼軸長眼で角膜乱視2D以内,矯正視力0.8以上を得られた46症例69眼.手術は複数の術者が施行し,IOL度数の計算式はSRK/T式を使用した.結果:術後屈折誤差(平均±標準偏差)はAモード法-0.41±0.57D,IOLマスター-0.58±0.53Dであった.Aモード法でのメーカー推奨A定数は118.7に対し,今回算出した当院パーソナルA定数は平均118.5であった.IOLマスター用A定数は119.5に対し,今症例での当院パーソナルA定数は平均119.2であった.IOLマスターにおいて,メーカー推奨A定数に比べ当院パーソナルA定数は統計学的に有意に少ない値であった.結論:メーカー推奨A定数を使用した場合の術後屈折誤差は近視化を認めた.