著者
佐々木 豊 井上 貴之 小薗井 茜 渡邊 瑞生
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.123-131, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
10

日本農業は高齢化が進み,次世代を担う人材の確保・育成が重要な課題となっている.農学系学校はその入り口となる重要なものであり,より多くの若者に農学・農業の面白さや魅力を伝える必要がある.また現在日本農業はTPP交渉も含めて大きな転換期を迎えている.一方,近年国内外でアニメ,コミック,キャラクターを中心とする日本型サブカルチャーが注目されている.現在の国内における日本型サブカルチャー利用・効果をまとめると,1.実在の場所の聖地化,2.キャラクターを用いた商品パッケージによる新購買層の獲得,3.ご当地キャラクターによる広報効果,4.農業・農学校を舞台としたコミックなどによる農学・農業学校の人気・関心度の向上が挙げられる.但し,失敗例も多く,また成功が一過性のものでは長期的に活用できない.我々は調査結果を踏まえ,日本型サブカルチャー戦略の長期的成功要素の分析・考察を行って,これを踏まえて独自のアイデアとして“やおわらし”を考案・設計し,農学と農業の両面からその活用と活性化を検討した.“やおわらし”とは,「八百万の神の童子(わらし)」から作ったオリジナルの造語・概念である.具体的にこの“やおわらし”の提案,“やおわらし”活動・成果の現状の報告を本論文で行った.農学・農業両面における活用について実施しており,特にアンケート結果から現状でも評価が高く,今後の期待の声も大きかったので報告する.