著者
岩崎 栄作 馬場 実 上野川 修一 榎本 淳 戸塚 護 小西 奈緒 木本 実
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.23-31, 1995
被引用文献数
1

食物アレルギー患児10例を対象に, 大豆蛋白を酵素分解して得られた大豆ペプチド (ハイニュートD3; 不二製油) を利用した飲料を投与し, 栄養管理の面から有用性を検討した. 大豆ペプチドの平均ペプチド鎖長は5.2, 遊離アミノ酸は1.0%であった. 大豆ペプチドの特異的IgE抗体の結合能は大豆蛋白に比較して有意の低下 (p<0.001) が認められた. 対象患児10例のうち, 試験飲料によって2例に発疹, 〓痒などの反応を認めたが, 8例は長期投与が可能であった. 1日1缶 (200g, 蛋白含量6g) を3カ月間以上, 継続投与した結果, 栄養学的指標の血液ヘモグロビン, 血清総蛋白, アルブミンは有意に改善し, 身長と体重の標準偏差値は全般的に順調な体重増加が認められた. 投与期間を通して, 大豆ペプチド飲料によるアレルギー症状の悪化は認められず, 長期間飲用による副作用を認めなかった. また, 一般血液検査, 生化学検査, 尿検査に異常を認めず, 患児ならびに保護者の評価は風味面 (おいしさ) を含めて良好であった.