著者
小西 弘江
出版者
兵庫医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

文書により研究同意を得た健常人ボランティアより毛根を20本程度採取して、total RNAを抽出した。精製後、マイクロチップ電気泳動システム(コスモアイ)を用いてRNAの分解がないことを確認後、逆転写反応とCy3標識反応を行い、試料に含まれる全てのmRNAからCy3標識されたアミノアリルaRNAを増幅・合成した。この増幅産物をDNAマイクロアレイチップをもちいて、ハイブリダイゼーションをおこない、毛根に発現する遺伝子のスクリーニングを行った。スクリーニングの結果、ケラチン17、ケラチン10、トランスグルタミナーゼ1、SPINK5等の遺伝性皮膚疾患の原因遺伝子の発現が確認された。しかし、ケラチン1など発現が確認されない遺伝性皮膚疾患関連遺伝子も存在した。文書により研究同意を得た健常人ボランティアの毛根より、total RNAを抽出し、high fidelityのポリメラーゼを用いたRT-PCRを種々の条件のもとでおこなった。その結果、翻訳領域を全て含んだケラチン17、ケラチン10、トランスグルタミナーゼ1、SPINK5のcDNAを増幅することができた。このPCR産物はシーケンスすることにより目的とする遺伝子が増幅されていることを確認した。これらのプロトコールは今後の臨床における先天性皮膚疾患の確定診断に役立てていく予定である。一連の実験により、ケラチン17、ケラチン10、トランスグルタミナーゼ1、SPINK5は毛根をもちいた遺伝子解析が確定診断に使用できることが分かった。