著者
亀井治人 大奥 泰亮 平木 俊吉 上岡 博 小谷 剛士 木村 郁郎
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.935-940, 1990-10-20
被引用文献数
1 2

1983年より当科に入院した肺癌340例のうち4例(1.2%)に手指への転移を認めた.組織型は小細胞癌2例, 腺癌1例, 扁平上皮癌1例であり, 1例が指骨のみへの転移, 1例が骨および皮膚・軟部組織への転移, 2例が皮膚・軟部組織のみへの転移であった.症状は同部の腫脹と痙痛を全例に認めた.手指への転移は, 全身病変悪化の部分症状として発現し, 全例転移発現後6ヵ月以内に死亡した.悪性腫瘍の手指への転移は非常にまれであり, また予後不良を示唆する徴候と思われる.