著者
小谷 祐樹 川口 敦 志馬 伸朗
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.180-188, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
16

要約:よく計画された調査研究からは,将来の研究につながるresearch questionなどの重要な情報が得られる。得られた情報は量的なものも質的なものもあり,内容は臨床家の意見から患者による報告まで多岐にわたる。技術の発達により,調査研究が広く容易に実施されるようになったため,普段から調査研究実施の招待を受ける機会や,研究目的のアンケートに招待される機会が増えた。他の研究デザインと同様に,調査研究を批判的吟味する方法を知ることは,結果解釈だけでなく,堅牢な研究実施にも必須である。調査研究は,コストや方法論の点で容易な研究手法と思われがちだが,質の高い研究を実施するのは難題と言える。 したがって,臨床家は調査研究の参加者として,知識の利用者として,研究者として,頑健な方法論を理解する必要がある。本総説では,調査研究の実施や批判的吟味の必須となる事項に関して,研究計画書執筆から論文出版に至るまで記載した。