- 著者
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島田 俊雄
荒川 英二
伊藤 健一郎
小迫 芳正
沖津 忠行
山井 志朗
西野 麻知子
中島 拓男
- 出版者
- 日本細菌学会
- 雑誌
- 日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.3, pp.863-870, 1995-07-25 (Released:2009-02-19)
- 参考文献数
- 15
- 被引用文献数
-
2
1994年7月,琵琶湖の生け簀で青白く光るスジエビ(所謂ホタルエビ)が大量に発見され新聞やテレビで報道されるなど注目された。採取後発光したスジエビは次第に衰弱し,その殆どがその日のうちに死亡した(所謂エビの伝染性光り病)。死んだエビの甲殼から発光細菌が分離された。同一のエビから分離された発光性4菌株は,TCBS寒天培地上で白糖非分解性の青色集落,PMT寒天培地上ではマンノース分解性の黄色集落を形成し,無塩ブイヨンおよび42°Cで発育した。トリプトソーヤ寒天およびブイヨンで,22°C培養で最も強い発光が見られたが,30°Cでは弱かった。これらの菌株はその形態・生理・生化学的性状がVibrio cholerae non-O1またはVibrio mimicusに類似していたが,その代表株(838-94)によるDNA相同性試験ではV.choleraeの基準株(ATCC14035)と高い相同性(79%)を示したが,V.mimicusのそれとは低い相関しか認められなかった。従って,これらの分離菌株はルミネセンス産生性V. cholerae non-O1と同定され,またその血清型はいずれもO28と型別された。一方,該菌株はコレラ毒素(CT)を産生せず,またCTおよびNAG-STのいずれの遺伝子も保有していなかった。