著者
小野 亨 城所 隆 小山 淳
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.176-179, 2004-12-15 (Released:2011-08-11)
参考文献数
4

ニホンアマガエルとトウキョウダルマガエルの捕食能力について, ツマグロヨコバイを餌種として実験的に解析した. 試験容器は, 腰高シャーレと網掛けしたポット植えイネ株とした. 絶食直後の腰高シャーレにおける両種の捕食量は, 2g以下の個体では体重にほぼ比例して増加したが, 2g以上の個体では体重の割に少なく, 頭打ちとなる傾向がみられた.また, 継続する5日間の日当たり捕食量は, 体重の重いグループでは2日目以降に減少したが, 体重の軽いグループでは5日間の捕食量にほとんど変化がみられなかった. ポット植えイネ株における捕食能力は, 両種とも腰高シャーレ内の捕食数と比べて少なかったが, その程度はトウキョウダルマガエルの方が大きく, イネに上ることができないことが理由と考えられる.
著者
横堀 亜弥 相花 絵里 加進 丈二 小野 亨 大江 高穂
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2019, no.70, pp.119-124, 2019-12-16 (Released:2020-12-18)
参考文献数
9

宮城県におけるフタオビコヤガの発生経過を明らかにするため,2011~18年にフェロモントラップと予察灯による誘殺盛期を調査するとともに,有効積算温度シミュレーションにより成虫の発生時期を推定した.その結果, 2011~14年と2016~18年は3世代,春~夏にかけて高温で推移した2015年は4世代発生したと推察された.また,有効積算温度シミュレーションにより推定された発生時期は,フェロモントラップと予察灯の誘殺盛期と概ね一致したことから,成虫の発生時期は有効積算温度シミュレーションにより予測可能であることが示唆された.さらに,水田周辺でイネ以外の寄主植物を探索したところ,水田畦畔上のアシカキ群落で9~10月にかけて幼虫の発生が確認された.以上のことから,本種は水田内において3~4世代経過し,秋季の寄主植物としてアシカキを利用していると考えられた.