著者
小野 功 水口 尚亮 中島 直敏 小野 典彦 中田 秀基 松岡 聡 関口 智嗣 楯 真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.396-406, 2005-08-15
被引用文献数
3

本論文では,Ono らが提案したNMR 蛋白質立体構造決定のための遺伝アルゴリズム(GA)を,複数のWAN 上のPC クラスタ群から構成されるグリッド上で並列化したシステムを提案し,提案システムの性能評価を行った結果を報告する.提案システムは,マスタ,サブマスタ,ワーカから構成される階層的なマスタ・ワーカ方式を用いて並列化されている.マスタと各PC クラスタ間の通信はセキュアなGridRPC ミドルウェアNinf-G を用いて,また,PC クラスタ内の通信は高速なGridRPCミドルウェアNinf-1 を用いて実現されている.さらに,提案システムでは,Ninf-G によるインターネット上の通信遅延を隠蔽するため,スライド転送手法を導入している.5 サイト/1 196CPU から構成されるグリッドテストベッドで,78 残基からなる蛋白質の立体構造決定問題を用いて,提案システムの性能評価を行った結果,高い並列化効率を示すことが確認された.In this paper, we parallelize the genetic algorithm (GA) for NMR protein three-dimensional structure determination, which has been proposed by Ono et al., on a grid that consists of multiple PC clusters on the WAN and report some results on the performance evaluation of the proposed system. The proposed system is parallelized with the hierarchical master-worker paradigm and consists of a master, submasters and workers. The communication between the master and each PC cluster is realized with Ninf-G, which is a secure GridRPC middleware, and that in each PC cluster is implemented by using Ninf-1, which is a fast GridRPC middleware. In the proposed system, we employ the slide transfer technique in order to hide the latency of communication on the Internet by using Ninf-G. The experimental results on the grid testbed consisting of 5 sites/1,196 CPUs showed that the proposed system effectively utilized computing resources on the grid testbed when it was applied to a problem of determining the three-dimensional structure of a 78-residue protein.
著者
福本 健冶 池田 冶 小野 典彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.96, no.77, pp.33-38, 1996-05-24
被引用文献数
1

近年, 強化学習を利用して, 未知の環境で振る舞うエージェント群に, 試行錯誤的に学習を行なわせ, それらの間に何らかの協調関係を組織化させることが試みられている. しかし各エージェントの状態空間は, そのタスクが他のエージェントとの連携をともない複雑化するにしたがい爆発してしまい, それらに効果的に強化学習を行なわせることはきわめて難しくなる. ここでは, 単純な強化学習の枠組みでは状態数が爆発してしまうマルチエージェントによる典型的な学習問題として, "追跡問題"をとりあげ, 各追跡者エージェント群に構造的Q学習を組み込むことによって, その状態空間の爆発を回避すると共に, それらに分業や群れ行動をともなう協調行動を獲得させることを試みる.