- 著者
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水谷 信夫
和田 節
樋口 博也
小野 幹夫
Leal Walter Soares
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.4, pp.195-202, 1999-11-25
- 被引用文献数
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天敵卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチを特異的に誘引するホソヘリカメムシ集合フェロモンの1成分,(<i>E</i>)-2-hexenyl(<i>Z</i>)-3-hexenoate(以下E2HZ3H)をダイズ圃場に処理し,カメムシタマゴトビコバチの密度と寄生率に与える影響を,集合フェロモン(3成分の混合物)処理および無処理の圃場と比較し,以下の点を明らかにした.<br>E2HZ3Hを処理したダイズ圃場では,カメムシタマゴトビコバチが通常の飛来時期より早く圃場に侵入する傾向が認められ,密度が高くなった.ホソヘリカメムシは誘引されなかった.一方,集合フェロモンを処理した圃場でもカメムシタマゴトビコバチが誘引されたが,同時にホソヘリカメムシも通常より早い時期から誘引され,密度も高かった.E2HZ3Hを処理したダイズ圃場のカメムシタマゴトビコバチのカメムシ卵に対する寄生率は,無処理圃場と有意な差がなかった.しかし,圃場内の雌蜂の密度が高くなった1997年の9月にE2HZ3Hを処理した秋ダイズ圃場で本寄生蜂の寄生率が高まる傾向が認められた.カメムシタマゴトビコバチのホソヘリカメムシ卵に対する寄生率は,フェロモンまたはE2HZ3Hを設置した株で高くなる傾向がみられず,ダイズ圃場内ではE2HZ3Hが雌蜂の寄主探索の手がかりとして機能していないことが示唆された.