著者
藤田 眞作 小山 行一 小野 茂敏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.1, pp.1-12, 1991-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19
被引用文献数
11

インスタントカラー写真に用いるo-スルホンアミドフェノール色素放出剤の分子設計における知見を述べる。この化合物の色素放出能力は,酸化と加水分解による。これらの効率が,ベンゼン環の置換基によって,大きく変化することを見いだした。とくに,相当する酸化体(o-キノン・モノスルホンイミド)の加水分解の副反応を調べ,それがt-ブチル基の立体障害により抑止できることを見つけた。一方,放出されるアゾ色素の堅ろう性は,アゾ成分中の電子供与基の存在で向上することを示した。色素放出剤の合成設計においては,o-アミノフェノール中間体の合成経路を種々検討した。その中から,ベンゾオキサゾールを経由する経路を開発した。Beckmann転位によるベンゾオキサゾールの合成法,スルホニルクロリドの合成条件,2-メトキシエトキシ基の導入方法,キノンの新規還元法を述べる。この研究によって,この色素放出剤を用いるインスタントカラーフィルムが,実用化された。