- 著者
-
小野 隆裕
橋本 章
田中 隆光
福家 洋之
清水 敦哉
欠田 成人
中野 洋
- 出版者
- 一般社団法人 日本肝臓学会
- 雑誌
- 肝臓 (ISSN:04514203)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.11, pp.734-741, 2021-11-01 (Released:2021-11-08)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
1
症例は40歳代女性.風俗店勤務.外陰部腫瘤,潰瘍,体幹部丘疹,手掌足底に紅斑を認め梅毒を疑った.梅毒反応陽性,胆道系優位の肝胆道系酵素上昇を認めた.腹部超音波検査で門脈域に高エコー像を認めた.造影CTでは動脈相で肝内胆管の一部拡張と壁肥厚,肝実質に不均一な造影所見を認め,以上より胆管炎も疑われた.MRIではT1強調画像opposed-phaseで門脈域周囲低信号域を認め,MRCPで胆管の枯れ枝状変化を認めた.肝生検ではグリソン鞘と周囲組織にリンパ球浸潤と線維化を認め実質に脂肪変性を認めた.AMPC内服を開始し梅毒反応は陰性化し,肝胆道系酵素は約11カ月の経過で低下し画像所見も改善を認めた.早期梅毒肝炎の過去報告例では画像上胆道系異常を指摘した報告は少ない.この所見は胆道系優位の肝障害という早期梅毒性肝炎の特徴とも合致し,特徴的な画像所見を呈した1例として報告する.