著者
小池 敏靖 渕崎 晶弘 一杉 芽美 小野寺 秀一 金子 祐次 岩間 輝 平山 順一 柴 雅之 宮島 晴子 林 宜亨 有澤 史倫 布施 久恵 内藤 祐 若本 志乃舞 藤原 満博 茶谷 真 栗原 勝彦 森 純平 寺田 あかね 大橋 祥朗 永井 正 佐竹 正博
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.490-495, 2018-06-30 (Released:2018-07-13)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

今般,安定的な血小板製剤(PC)の確保を目的とし,成分採血装置Trima Accelに,一人の献血者から2本分の10単位PCを一度に採血できるプログラムが搭載された.この採血方法では従来の方法と異なり,一つのポリ塩化ビニル製採血バッグ(PVCバッグ)に通常の2倍量の血小板原料が入る.さらに,その状態で採血当日または翌日まで保管後,2分割する必要がある.本検討では,採血翌日に分割した分割対象血小板原料血液由来10単位PC(分割PC)の品質を解析した.採血後4日目までのTrima Accel由来の分割PCとCCS採血由来の非分割PCの品質を比較した結果,補体であるC5a濃度とpHは分割PCにおいて有意に高値であったが,正常範囲内であった.また,その他の血小板機能等に差はなかった.そのため,分割PCの品質は,従来の非分割のPCと同等であることが明らかになった.
著者
岡田 秀紀 川添 直樹 山森 昭 小野寺 秀一 塩見 徳夫
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of Applied Glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.143-148, 2008 (Released:2008-07-03)
参考文献数
25
被引用文献数
4 6

植物エキス発酵飲料(以下FPE)は数十種類の野菜,果物を原料とし,sucroseの浸透圧を利用してエキスを抽出し約半年間,酵母および乳酸菌によって自然発酵させた褐色,粘ちょう性の飲料である.この飲料の投与によりラットの寿命延長効果が示唆されており,アルコール性胃粘膜障害抑制効果を有することやβ-(1,3)glucanが存在することをすでに報告している.FPE中に含まれるglucose,fructose以外の糖質の検索は,60%近い糖濃度の飲料であるため困難であったが,高感度に検出する方法を用いることにより微量に含まれるオリゴ糖類の検出が可能となり,その結果,数種の新規糖質および希少糖が見いだされた.FPEから活性炭クロマトグラフィー,amide-80カラムおよびODS-80Tsカラムを用いたHPLCにより十数種の糖類を単離した.これら糖質について酸加水分解による構成糖分析,MALDI-TOF-MS分析,完全メチル化メタノリゼートのGC分析,COSY,HSQC,HSQC-TOCSY,HMBC等の2次元NMR分析等により構造解析を行った.この結果,5種類の新規糖質を見いだし,それぞれO-β-D-fructopyranosyl-(2→6)-D-glucopyranose(Fp2-6G),O-β-D-fructopyranosyl-(2→6)-O-β-D-glucopyranosyl-(1→3)-D-glucopyranose,O-β-D-fructopyranosyl-(2→6)-O-[β-D-glucopyranosyl-(1→3)]-D-glucopyranose,1F-β-D-glucopyranosylsucrose,1F-β-D-galactopyranosylsucroseと決定した.これらの糖質は,発酵熟成中に生成された.新規糖質合成株のスクリーニングを行ったところ植物エキス発酵飲料の発酵熟成中の液から酵母5株(Y-1,-2,-3,-4,-5)を分離した.この株から調製した粗酵素液10 mLをpH 5.0の緩衝液に30%濃度になるよう溶解したglucose,fructose混液100 mLに加え,37°Cで加温した.5株についてFp2-6G合成活性を調べたところ,Y-1株粗酵素反応液中にFp2-6Gと同じ保持時間の糖が検出された.この反応液について各種クロマトグラフィーを行い糖を単離し,構造解析したところFp2-6Gであることが確認された.Y-1株粗酵素によるFp2-6Gの生成量は,上記反応系では非常に少なかったが,反応168時間後においても増加していた.また,基質濃度(glucose:fructose=1:1)の増加にともなって生成量が増加したが,70%濃度が上限であった.