著者
小野寺 美和 谷 明日香
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<br><br><b>目的</b>&nbsp; 夜間の交通安全用品として反射板が多く市販されているが,デザイン性に欠け利用する人が少ない.県警の報告によると,歩行中の交通死亡事故の夜間割合は昼間の約2倍の発生状況であり,特に高齢者に多く見受けられる.宮城県警では委託された業者が,一件ずつ反射板(靴のかかと用)を配って歩いているのが現状である.そこで,本研究では太陽光や蛍光灯の光を蓄え暗闇で光を放つ蓄光糸に着目し,障害の有無や年齢,体型に関わらず,どんな人も安心,安全に楽しめる衣類の設計指針の提案をするための基礎的研究として,蓄光糸の力学的特性および表面特性を明らかにした.<br><br><br><b>方法 </b>蓄光糸(A-Muse(製))の特性を電子顕微鏡による観察および力学特性の測定により明らかした.さらに蓄光糸を用いて織物(平織,綾織,朱子織)を試作し,力学特性および表面特性測定を行うとともに輝度の測定を行った.また,試作品として,キーホルダーのホルダー部分に三つ編みした蓄光糸を用いることで,蓄光糸の衣服への活用への足がかりとした.<br><br>&nbsp;<b>結果 </b>蓄光糸はポリエステルとポリプロピレンの芯鞘構造であることが明らかとなった.蓄光糸の強度はポリエステル糸と同程度であり,蓄光糸を用いた布は優れた平滑性があることが明らかとなった.また,蓄光糸の織り方により輝度は異なることが明らかになった.<br>