著者
小針 友義 村山 尊司 松澤 和洋 井上 晃穂
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.35-40, 2018-08-31 (Released:2018-10-22)
参考文献数
22

近年,Constraint-Induced Movement Therapy(CI療法)のコンセプトが下肢麻痺に対しても応用されているが,その治療効果に関する報告は未だ乏しい.本研究の目的は,慢性期脳卒中下肢麻痺症例に対するCI療法のコンセプトを応用した下肢集中訓練が臨床的アウトカムに及ぼす影響を検証することである.左視床出血と診断された40歳代の男性を対象とした.発症から489日後に下肢集中訓練を開始した.本訓練は1日3.5時間を平日5日間,3週間実施された.評価にはFugl-Meyer Assessmentの下肢項目,10 m歩行テスト,Timed Up and GO test(TUG),Berg Balance Scale(BBS),6分間歩行テスト(6MWT)を使用した.下肢集中訓練実施前後で10 m歩行テスト,TUG,BBS,6MWTに向上がみられた.慢性期脳卒中片麻痺者に対するCI療法のコンセプトを応用した下肢集中訓練は歩行能力やバランス能力の向上に影響を及ぼす可能性がある.