著者
小須田 雅
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は,q=1の場合のParty代数の既約表現の行列表示に関する論文をまとめて外国雑誌に投稿した。昨年以来試みてきたq変型については,共役関係,すなわち「対称群の生成元に対応する生成元で挟んだ場合に,『共役』な関係式が得られる」という性質を満たすものを構成することは出来なかったので,制限付きのParty代数(これらは複素鏡映群のテンソル積表現の中心可環に対応する)の既約表現の構成について考えた。こちらについては,スウェーデンで行われた「形式的巾級数と代数的組み合わせ論の研究集会(FPSAC03)」で,A.Ram氏と討論する予定であったが,Ram氏が欠席したため,思うような成果は得られなかった。Ram氏は複素鏡映群のテンソル積表現の中心可環の特別なタイプである,Partition代数と呼ばれる代数の既約表現の構成について講演する予定であったため,今後の研究についての重要な指針が得られる筈であった。しかしながら,同研究集会に出席していたP.Terwilliger氏との討論を通じて, Party代数の指標表の作成に関する研究について,いくつかのアイデアを得ることが出来た。また,Terwilliger氏はRam氏と同じ大学に所属しており,分野も近いことから,氏の研究についての情報も得ることが出来た。その後,制限付きのParty代数の既約表現の構成について自分なりに良いアイデアが得られたが,論文としてまとめるにはもう少しの進展が必要である。予定していたRam氏との討論が実現しなかったため,期間内に当初の研究計画すべてが実現できたわけではないが,予想された範囲内の進ちょくと言える。今後は「制限付きのParty代数の既約表現の構成」についての論文を仕上げ,Terwslliger, Ramの両氏と討論することで,新しい研究の方向を見極めたい。