- 著者
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平 辰彦
Tatsuhiko TAIRA
尚美学園大学非常勤
- 出版者
- 尚美学園大学総合政策学部
- 雑誌
- 尚美学園大学総合政策研究紀要 = Bulletin of policy and management, Shobi University (ISSN:13463802)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.83-105, 2011-12-01
古今東西の演劇における幽霊は、「古典主義的演劇」の幽霊と「バロック的演劇」の幽霊に大別することができる。前者の幽霊は、「三単一」の法則が守られた劇作法で創造された幽霊であり、後者の幽霊は、「三単一」の法則を無視した自由奔放な劇作法で創造された「非古典主義的演劇」の幽霊である。 本稿では、古代ギリシアの「悲劇」と中世日本の能楽の「古典主義的演劇」の幽霊及びエリザベス朝時代のシェイクスピア劇と江戸時代・明治時代の歌舞伎の「バロック的演劇」の幽霊をそれぞれ比較しながら、そこにあらわれた幽霊の民族的特性と演劇的普遍性が、どのようなものかを明らかにする。The present paper is a contribution toward a comparison the characteristics and theatrical functionsof ghosts on the classical theatres and the baroque theatres.Similarities and differences between the ghosts of the classical theatres and the baroque theatres, inconclusion, the result of complex, very different traditions, which differently stress objective versussubjective perception, and realistic versus stylized artistic expression.