著者
尹 文九
出版者
東京福祉大学・大学院
雑誌
東京福祉大学・大学院紀要 (ISSN:18837565)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.75-86, 2011-08

日本を始めとして東アジア、さらに今後はアジアの多くの地域で速いスピードで少子・高齢化が進行している。人口高齢化速度を欧米先進国とアジア諸国と比較すると、高齢化社会から高齢社会に至るのに欧米先進国は平均約 80年も所要した一方で、アジアの場合は約 20年が予測されている。このように短期間に少子・高齢化が進行することによって、社会保障を始め、社会に大きなインパクトを与えている社会を「圧縮・少子高齢化社会」という。本稿では、まず、「圧縮・少子高齢化社会」概念に基づき、アジア地域における人口変動の実態を概観した。つまり、少子・高齢化が進む背景と、それに伴ってライフサイクルがどのように変化しているのかについて概括した。そして、アジア共同体に対する機能的なアプローチの一つとして東アジア型福祉政策あるいはモデルの模索のため、1990年代以後、一般的に論じられている「ワークフェア」という用語を「DJウェルフェアリズム」論を中心に検討し、さらに、それがアジア型福祉モデルとして相応しいかどうかを検証した後、最後に、残された課題や問題点についていくつかの提案をしたい。