- 著者
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尹 青青
- 出版者
- 中央大学人文科学研究所
- 雑誌
- 人文研紀要 (ISSN:02873877)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, pp.81-109, 2017-09-30
『山海経』に見る帝俊説話について、先行研究ではこの人物を舜或いは帝嚳として解釈するが、客観性が十分であるとは考え難い。 本稿では、従来の先行研究と相反する視点を仮説に立て、『山海経』に見る帝俊説話を検討する。黄帝とあまり関係性を持たないとされた帝俊だが、『山海経』に見る帝俊説話と黄帝説話に関して、一言で無関係だとは判断できない。『山海経』に見る帝俊説話は如何なるものか、そして黄帝説話とはどのような関係性を持つのか、これらの疑問を明らかにするのが本稿の目的である。 帝俊の独自性を仮定した上、『山海経』に見る帝俊説話では、帝俊の神格がかなり強調されていることを確認する。その上で『山海経』に於いては帝俊説話が黄帝説話より優位に立つと考える。一方、黄帝説話が帝俊説話と関係性を持たないとは言えず、寧ろ帝俊説話を吸収する傾向が見えると推測できる。その傾向は既に『山海経』に見えると思われる。