著者
森 川豊 中 洋- 尾 崎葦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1972, no.6, pp.1023-1028, 1972-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

-重促進鉄(Fe-Al203)上における窒素ガスの同位体交換反応の速度を280~330℃で求めた。この速度は,吸着窒素の脱離速度と-致したので,-重促進鉄上に吸着した窒素は大部分解離型であると推定された。-重促進鉄上での同位体交換反応は純鉄上,二重促進鉄上でのそれにくらべてきわめて速い。また同位体交換反応に対する共存水素の効果は,二重促進鉄の場合には促進効果であったのに対し-重促進鉄では阻害効果を示した。純鉄にK20を添加したFe-K20上でこの共存水素の効果を調べたところ,明らかな促進効果を示した。これらの事実から,アンモニア合成触媒におけるAl203は,窒素の解離に対する活性をきわめて増大する効果を有するが,その活性は水素が共存すると減少する。また,促進剤K20は,水素が共存する系でN2=2NHなる過程を促進することにより,窒素の解離吸着をいちじるしく速くすると推定した。