著者
尾暮 正義 長沼 計作 原島 典雄
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.159-164, 1985-04-30 (Released:2010-07-01)
参考文献数
37

クワとコウゾとの属間交雑による雑種植物育成の可能性を究明するため, これらの交雑を試みた。クワとコウゾとの交雑において, クワを種子親に用いた場合は多くの完熟した椹が得られたが, 逆交雑では受粉後全部の花が落下ないしは萎凋した。着椹割合は種子親に用いたクワの品種・系統間で明瞭な差異がみられた。また, β-ナフトキシ酢酸の30~50ppm処理は着椹割合をかなり高めたが, ジベリン75~100ppm処理は著しく低下させた。クワ系統C 4081-G7の椹には1粒の種子も含まれていなかったが, 他の椹には多数の種子が含まれていた。得られた種子の大部分はしいなであり, 水々注ぐと水面に浮んだが, 沈むもの (沈種子) も含まれていた。この沈種子から発芽・生長した6個体について, 外部形態やアイソザイムパターンなどを調査した結果, いずれも属間雑種ではないことが判明し, クワとコウゾとの間に強い交雑不親和性が認められた。