著者
屋嘉 宗克
出版者
沖縄大学
雑誌
沖大論叢 (ISSN:03871630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.35-47, 1963-03-30

「玉勝間]の一節に、「詞のみにもあらず、よろづのしわざにも、かたいなかには、いにしへざまの、みやびたることの、のこれるたぐひ多し」と田舎に伝承する言語や風習に、正雅な古代要素を認め、さらに「ことにいなかには、ふるくおもしろことおほし、すべてかゝるたぐいの事をも、国々のようを、海づら山がくれの里々まで、あまねく尋ね聞あつめて、物にもしるしおかまほしきわざなり。」と、海浜山間の村々を訪ね歩いて、記録しておくべきだと述べてあるが、今回のわれわれの学術調査は、沖縄の古い姿を残し民俗学の宝庫と云われている伊平屋島を8日間にわたつて採訪、その時の調査記録によつて、種々の民俗で問題となるべき事項は数多くあつたが、ここでは次の諸項について記述することにする。 (1)神社信仰 (2)豊年祈願 (3)悪風返しの獅子(シーサー) (4)野甫島の雨乞祈願 (5)無蔵水の伝説における霊魂寄せ(マブイユシ)