著者
野崎 淳夫 成田 泰章 二科 妃里 一條 佑介 山下 祐希
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-44, 2015 (Released:2015-06-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4

本研究では,24時間換気装置が設置された一般住宅において,1)開放型石油暖房器具(石油ファンヒーター)使用時の室内汚染物質濃度を実測調査により明らかにし,次に2)大型チャンバーを用いて,実測調査で使用した石油ファンヒーターの汚染物質発生量を求めた。結果として,1)実測調査から器具使用時にはヘプタン,トルエン,オクタン,ノナン,デカン,ノナナール,ウンデカン,デカナール,ドデカン,トリデカン,テトラデカンなどの室内濃度が上昇し,特にデカン類の室内濃度が上昇した。また,NO2濃度は器具使用50分後に395 ppbに達し,大気汚染防止法による大気環境基準の6.6倍の値が測定された。2)実測調査で器具使用時に確認されたエタノール,アセトン,トルエン,ヘプタンは,建材や日用品などに由来する。3)チャンバー実験により,テストした石油ファンヒーターからはオクタン,m, p-キシレン,o-キシレン,ノナン,1,2,4-トリメチルベンゼン,デカン,ウンデカン,ドデカン,トリデカン,テトラデカン,ペンタデカンの発生があり,また器具非使用時においても,オクタン,m, p-キシレン,ノナン,デカン,ウンデカン,ドデカントリデカンなどが発生していた。4)石油ファンヒーターの燃料消費量率は,器具使用開始から10分間が最も大きく,他の時間帯の2.15~2.87倍を示した。5)燃料単位重量当たりの石油ファンヒーターのTVOC発生量は0-10分値と10-20分値で,それぞれ90,317と858,204 μg/kgであった。