著者
山下 雅俊 水野 賀史
出版者
大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
雑誌
子どものこころと脳の発達 (ISSN:21851417)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.45-51, 2022 (Released:2022-10-15)
参考文献数
22

注意欠如・多動症(attention-deficit/hyperactivity disorder: ADHD)は不注意,多動性・衝動性を特徴とした神経発達症である.近年,ヒトの脳機能や脳構造を可視化する有力な方法であるMRI(磁気共鳴画像)により,ADHDの神経生物学的基盤の解明が進み,前頭葉,大脳基底核の構造的な成熟の遅れが示唆されてきた.その一方で,これまでのADHDに対する脳機能研究の成果には一貫性が乏しいことも問題点として指摘されている.本稿では,これまで報告されてきたADHDのMRI研究(脳形態,機能的MRI)に関する主な知見をまとめ,最後に,それに続くADHDの神経生物学的基盤の解明に向けた,我々の取り組みについても紹介する.