著者
秋山 久美子 山中 健太郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.111, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】リンゴのような丸い食材の皮を包丁で剥くという調理操作は、両手の動きを連動・協調させるような高度な運動スキルが必要である。そのため、その技術が巧である者から稚拙である者までの差が大きい。演者らは、丸むき技術の巧拙と包丁操作の関係を明らかにすることで、短時間でも効果的に調理技術を定着させるための要点を見出すことを目的として研究を行ってきた。昨年度の本大会で、包丁の角度、包丁の持ち方、包丁を持つ手の親指の動かし方が、丸むきの巧拙に関係していたことを報告した。本年度は、さらに筋肉活動に着目し、利き手の動きと、リンゴを支える手の動きの関係を明らかにすることを目的として研究を行った。【方法】栄養士養成学科の2年生80名を対象として、スクリーニング調査を実施した。その結果をもとに巧であるもの5名、稚拙であるもの5名を選び出した。それぞれの被験者にモーションキャプチャーの反射マーカーと筋電計を装着し、牛刀を用いてリンゴを丸のまま剥かせた。同時にビデオ撮影も行った。また、昨年度の研究結果をもとに剥き方の教習を行い、その教育効果についても検討を行った。【結果】リンゴの丸剥きが巧である者の腕の筋肉は、右手が包丁の刃を進めるために3~4回動いた後に、左手がリンゴを持ち帰るために1回動く。という、左右が連動したリズミカルな動きを見せていた。それに対して稚拙な者の筋肉活動は、不規則であった。昨年度の結果をもとに剥き方の教習を行った結果、リンゴの丸剥きの速度、完成度ともに効果がみられた。