著者
田中 敏弘 山中 浩文 岩倉 勉 松山 康甫 嶽崎 亮
出版者
日本茶業技術協会(農林省茶業試験場内)
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.69, pp.1-11, 1989
被引用文献数
2

チャの潮風害回避のため,蒸散抑制剤と洗浄,間作作物の利用について検討した。<BR>1) 1985年8月31日に台風13号が通過した。それより9日前に,蒸散抑制剤(グリンナー:ワックス水和剤)の10%液を200l/10a散布しても,無散布に比べ,潮風害の発生程度に差がみられなかった。<BR>2) 海水散布(200l/10a)後洗浄までの時間が,4時間以上経過すると1000l/10aの水で洗浄しても無洗浄と差がなく,0.5時間後の洗浄では無洗浄の61~71%の被害発生が認められた。<BR>3) 間作作物としてソルガムを用いた幼木園は,台風通過時にソルガムの草丈が128~142cmで,幹数が27~40本/mに達していれば,防風垣の効果のない所では,枯死株率が59~82%に達し,改植が必要と思われたのに対し,2番目のソルガムの防風垣の背後にある5,6畦目からは,枯死株率は2~9%で実害はなかった。<BR>4) 以上の結果から,潮風害の回避のためには小量の水による洗浄より,防風対策が有効と考えられ,幼木園では,間作も有効な手法であり,間作作物としては,ソルガムのように耐倒伏性の強い作物が適するであろう。