著者
山口 亮介
出版者
中央大学通信教育部
雑誌
白門
巻号頁・発行日
vol.72, no.845, pp.30-34, 2020
著者
山口 亮介
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

特発性大腿骨頭壊死症の病態および修復に関して、動物モデル及び疫学調査等を用いて、基礎的、臨床的研究を行った。基礎的研究として、ステロイド性骨壊死家兎モデルを用いて、ステロイドの投与経路によって薬物体内動態およびステロイド性骨壊死の発生頻度がどのように変化するについて検討を行った。臨床におけるステロイド投与法と、モデルにおける投与法は相違点があるものの、その詳細や薬物動態についてはこれまで検討されていなかった。雄日本白色家兎に対して、経静脈、経口、経筋肉内の3種の経路でステロイド剤を投与し、骨壊死発生率および血中薬物動態、血液学的変化を検討した結果、ステロイド性骨壊死発生の危険因子として、ごく短期間の高ステロイド濃度を引き起こす投与法より、一定期間一定濃度を維持する投与法がより強く関与している可能性が示唆された。臨床的研究として、記述疫学調査によって特発性大腿骨頭壊死症の詳細な記述疫学調査を行った。福岡県では過去3年間に新規認定患者は339人であり、発生率は年間10万人あたり2.26人であった。誘因はステロイドあり31%、アルコールあり37%、両方あり6%、両方なし25%であった。治療法では約半数で手術が行われており、人工関節手術が最も多かった。ステロイド性骨壊死では平均41mgの投与量、4.6年の投与期間であった。アルコール性壊死では1日あたり平均2.7合、約25年の飲酒歴であった。記述疫学結果をまとめ特発性大腿骨頭壊死症調査研究班会議にて報告した。さらに平成25年8月からは、米国テキサス州に渡航し、Texas Scottish Rite Hospital for Childrenにて、大腿骨頭壊死の病態に関する基礎的な研究を開始した。小児における大腿骨頭壊死疾患としてPerthes病が知られているが、当施設では未成熟豚を使用したPerthes病モデルを用いて、骨壊死のどのような組織変化が滑膜炎、関節炎を引き起こすかにかについて分子生物学的な検討を行っている。