著者
山口 昌也 大塚 裕子
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.25-37, 2021-02-22

本論文では,大学生を対象にした話し合い能力向上のためのトレーニングプログラムである「自律型対話プログラム」におけるディスカッション練習とリフレクション活動に観察支援システムFishWatchrを導入する方法を提案する.提案手法では,ビデオ収録したディスカッションをメンバ各自がFishWatchrでビデオアノテーションにより観察したうえで,全メンバの結果を参照しつつ,リフレクションを行う.提案手法を用いた実践は32名の大学生が参加した15コマの集中授業の一環として実施した.実践結果の評価として,(1)フィッシュボウルによる手法と提案手法とを観察とリフレクションの観点から定性的に分析し,提案手法の長所を明らかにしたうえで,(2)受講者へのアンケートとアノテーション結果により,長所が受講者に認識されたか,また,実践で活用されたかどうかを検証する.検証の結果,定性的分析により,提案手法の長所が「アノテーション結果の利用」「自己観察」「実シーンの参照」であることを示した.そして,(a)これらの長所が受講者の93.7%のアンケート結果で指摘されていること,(b)受講者の84.4%が自己観察として自分に対するアノテーションを実際に行っていたこと,(c)アノテーション結果が「他メンバの理解」「シーン理解」「リフレクション時の利便性向上」に活用されうることを確認した.
著者
柏野 和佳子 山口 昌也 桐生 りか 田中 牧郎
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.97-116, 2005-08-26 (Released:2011-03-01)
参考文献数
11

本研究は, 大規模な経年調査による語彙調査を行い, 外来語の使用状況を定量的に明らかにするものである.語の使用状況をとらえるために使用度数を調査する語彙調査はたいへん有効である.これまでに各種の語彙調査が行われてきたが, 多くは調査時の使用状況の把握を目的にしていたため, 対象年を1年以内に限定するものがほとんどであった.しかしながら, 語の使用状況の把握には, 時間的推移という視点もまた重要である.電子テキスト化された大量の各種の新聞記事データベースが研究に利用できるようになって以来, これを用いて時間的推移を大規模に分析する研究が行われている.ただし, 文字や語彙の全体的な変動を分析したものであり, 個々の語の使用推移に着目して各語の使用状況をとらえようとする分析はまだなかった.そこで, 我々は, 外来語を対象に, 新聞記事データベースを用いて, 語の使用推移, すなわち出現率の推移に着目して語の使用状況をとらえる研究を行った.対象語には, 国立国語研究所「外来語」委員会が第1回と第2回の言い換え提案の対象に選定し, その使用状況の調査が求められていた外来語, 109語を用いた.
著者
小椋 秀樹 山口 昌也 西川 賢哉 石塚 京子 木村 睦子
出版者
国書刊行会
雑誌
日本語科学
巻号頁・発行日
vol.16, pp.93-113, 2004-10
被引用文献数
1

国立国語研究所国立国語研究所国立国語研究所埼玉大学大学院国立国語研究所『日本語話し言葉コーパス』では,形態論的な単位として,品詞の分布などの計量研究によって資料の特徴を明らかにするための長単位と,用例を採集し,話し言葉の語彙・語法の研究を行うための短単位の2種類の単位を採用した。本稿では,この2種類の単位の設計方針及び認定基準の概略について述べることとする。