著者
阿部 裕 木嶋 麻乃 山口 未来 伊藤 裕才 六鹿 元雄 穐山 浩 佐藤 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.38-44, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2

国内の市販ポリ塩化ビニル(PVC)製おもちゃに使用されている可塑剤の実態を明らかにするため,2014年度に購入したPVC製おもちゃ約500検体の可塑剤を調査した.その結果,テレフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHTP)など15種類の可塑剤が検出された.その種類は2009年度に購入した試料の調査と大きく変わらなかった.おもちゃからの検出率はDEHTPが最も高く,指定おもちゃでは60.3%,指定おもちゃ以外では73.7%であり,2009年度の調査と比べいずれも20ポイント以上高い値であった.指定おもちゃにおいて使用が禁止されている6種類のフタル酸エステル類(PAEs)は引き続き使用されていなかった.一方,指定おもちゃ以外からは6種類のうち4種類が検出され,検出率は2.8~15.5%であったが,2009年度の調査と比べ10~26ポイント低い値であった.一方,試料あたりの可塑剤総含有量の平均値は2009年度の調査に比べて低い値であった.このように,現在国内で流通するPVC製おもちゃに使用されている主な可塑剤はDEHTPであり,可塑剤の使用量は減少していることが明らかとなった.