- 著者
-
穐山 浩
杉本 直樹
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.6, pp.522-527, 2014 (Released:2016-07-02)
- 参考文献数
- 17
2012年5月11日に消費者庁から「コチニール色素に関する注意喚起」として,コチニール色素が添加された食品を摂取したとき,急性アレルギー(アナフィラキシー)を引き起こした症例研究情報の提供が報告された.アナフィラキシーを発症した場合,じん麻疹,血管性の浮腫,呼吸困難などが同時に起こり,重篤な症状となる場合もあるため注意が必要である.コチニール色素は,赤色の着色を目的として食品添加物だけでなく,医薬品添加物,医薬部外品や化粧品など様々な用途で使用されている.消費者庁の注意喚起を受けて,コチニール色素によって引き起こされるアレルギーの実態把握,ならびに原因解明が急務となっている.本稿では,レギュラトリーサイエンスの観点から我が国と諸外国の規格を元に,コチニール色素,そのアルミニウム結合物(レーキ)であるカルミンがどのような色素であるかについて説明する.また,最近の知見を交えながら,コチニール色素とアレルギーの実態および原因解明について解説する.