著者
本田 進 木村 中 渡部 将伍 山口 瞳
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.39-42, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
13

症例は53歳男性。4年前より背部に疼痛、腫脹、色素沈着があり、排膿することがあった。慢性膿皮症の診断にて他院で外用薬の塗布と抗菌薬の内服による治療を行っていた。改善がないため当院皮膚科を受診し、手術治療の適応と判断され当科に紹介となった。初診時、背部に大きさ11cm×9cmの範囲で点在する茶色の色素沈着と膨隆を認めた。全身麻酔下に病変部を切除し、皮膚欠損に対しては分層植皮術を施行した。病理結果はTufted angioma(房状血管腫)であった。術後8か月、再発はなく経過は良好である。Tufted angiomaは比較的稀な血管内皮細胞性腫瘍である。報告では大半が幼少期に発症するが、成人での発症例もみられる。今回われわれは成人のTufted angiomaの1 例を経験したため、文献的考察を踏まえ報告する。