著者
石川 耕資 南本 俊之 一村 公人 本田 進 蕨 雄大 古川 洋志
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.22-26, 2014 (Released:2014-01-01)
参考文献数
14

壊死性筋膜炎と重症蜂窩織炎の鑑別に LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score の有用性が報告されている。われわれは 2005 年から 2012 年までの間に経験した壊死性筋膜炎 11 例と重症蜂窩織炎 110 例を後ろ向きに解析し,LRINEC score の有用性について検討した。壊死性筋膜炎群の LRINEC score (6~12,平均 9.2)は,重症蜂窩織炎群(0~10,平均 2.7)と比較して有意に高値であった。LRINEC score 6 以上を壊死性筋膜炎とするためのカットオフ値とした場合,感度 100%,特異度 85.5%,陽性的中率 40.7%,陰性的中率 100%であった。LRINEC score は,臨床,画像所見に加えた壊死性筋膜炎の補助的診断ツールとして有用であると考えられた。
著者
本田 進 木村 中 渡部 将伍 山口 瞳
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.39-42, 2023 (Released:2023-06-01)
参考文献数
13

症例は53歳男性。4年前より背部に疼痛、腫脹、色素沈着があり、排膿することがあった。慢性膿皮症の診断にて他院で外用薬の塗布と抗菌薬の内服による治療を行っていた。改善がないため当院皮膚科を受診し、手術治療の適応と判断され当科に紹介となった。初診時、背部に大きさ11cm×9cmの範囲で点在する茶色の色素沈着と膨隆を認めた。全身麻酔下に病変部を切除し、皮膚欠損に対しては分層植皮術を施行した。病理結果はTufted angioma(房状血管腫)であった。術後8か月、再発はなく経過は良好である。Tufted angiomaは比較的稀な血管内皮細胞性腫瘍である。報告では大半が幼少期に発症するが、成人での発症例もみられる。今回われわれは成人のTufted angiomaの1 例を経験したため、文献的考察を踏まえ報告する。