著者
上村 繁樹 山口 菜摘 大久保 努 吉井 文子
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.397-404, 2013-11-25 (Released:2017-10-11)
参考文献数
11

本研究では,香り分子の抗菌活性を検討するに当たり,大腸菌を検定菌とした寒天気体法を試みた.測定する香り分子によっては,阻止円の外周にあたる部分(非阻止円部)においても菌の増殖が阻害される現象が見受けられ,一概に阻止円の面積だけでは評価できないことを見出した.そこで,このような現象が生じた場合でも,正しく抗菌活性を評価するために,寒天をくり抜き,くり抜いた寒天の表面上の菌数を直接測定する方法を考案し,非阻止円部の増殖抑制の評価法を検討した.さらに,本方法を用いて2種の香り分子を組合せて抗菌活性を測定した結果,例えば,酢酸リナリル単独では抗菌活性をほとんど示さないが,リナロールと混合することによって,お互いの抗菌活性を向上させる可能性が示唆された.