著者
石川 樹 當銘 保則 大城 裕理 青木 佑介 山城 正一郎 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.765-768, 2021

<p>【はじめに】当院での骨原発Langerhans cell histiocytosis(LCH)の単一病変(Single system single site: SS-s)と多発病変(Single system multi-site: SS-m)の診断と予後に有用な因子に関して調査した.【対象と方法】2004年1月から2020年1月までに当院で診断された骨原発LCH 14例を対象とした.評価項目は年齢,性別,発生部位,CRP値,FDG-PETのSUVmax値,腫瘍体積とした.統計はStudent t検定とカイ二乗検定を使用した.【結果】SS-sは10例(男性8例),SS-mは4例(男性2例)で,平均観察期間は40ヵ月であった.発生部位は頭蓋骨と脊椎に多く,SS-sとSS-mの平均年齢は各々9.0歳と5.0歳,平均CRP値(mg/dL)は0.71と0.5,平均SUVmax値は8.7と9.8,平均腫瘍体積(mm3)は3353.4と4694.1であった.2群間で有意な因子を認めなかった.診断後5ヵ月でSS-sの1例に再発を認めたが,化学療法で寛解した.最終観察時,全例で寛解を維持していた.【考察】本研究では1例で再発を認め,慎重な経過観察を要すると考えられた.SS-sとSS-mの2群間の診断に有用な因子を認めず,両者の鑑別にはFDG-PETなどの全身検索が必要であると考えられた.</p>
著者
山城 正一郎 金城 政樹 金城 忠克 仲宗根 素子 大久保 宏貴 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.111-114, 2021

<p>【はじめに】母指ボタンホール変形は,関節リウマチ(RA),外傷などに起因することが多い.両側長母指伸筋(EPL)腱,短母指伸筋(EPB)腱の脱臼から生じた特発例を報告する.【症例】59歳女性,主婦.誘因なく10年前より両母指変形を自覚し,徐々に進行した.1年前から両母指MP関節の自動伸展が困難となった.外傷歴なく,RA検査は陰性であった.両母指MP関節屈曲時にEPL腱とEPB腱が尺側へ脱臼し,左側はMP関節屈曲位からの自動伸展は不可で,左母指からwide awake surgeryで行った.関節包を縫縮して亜脱臼を整復.EPB腱を停止部で切離し,術中MP関節伸展0°屈曲45°が可能な緊張で再縫着,EPL腱と側々縫合し橈側伸筋腱帽を縫縮した.術後MP関節鋼線・ギプス固定後,術後5週で自動運動,8週から他動運動開始した.9か月後に右側の手術を行った.左側術後3年,右側術後2年3か月で両側MP関節自動伸展可能であり,変形の再発は認めていない.</p>