著者
山場 淳史 児玉 憲昭
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>広島県南部では元来,アカマツが優占する里山二次林が主要な植生景観であったが,現在ではそのほとんどが松枯れ被害を受け利用されないまま放置されている。部分的に市民・住民による維持管理作業が行われている箇所もあるものの,林業施策的にはほぼ取り残されている状態である。本報は,こうした地域における里山林利用を再構築する事例として,東広島市(旧黒瀬町・安芸津町を除く)と三原市大和町を所管する賀茂地方森林組合が主体となった取り組みを解説する。木の駅方式を一部取り入れ収集した木質バイオマスをチップ・ペレット化する拠点を整備するとともに,地域に立地する企業・団体の取り組み(小規模バイオマス発電や農畜産業など)と連携し地域内で循環することを目指している。併せて,その仕組みを補強し収益性をより高めるモデルとして,松枯れ跡林分に特徴的な未利用樹種ネズ(別名ネズミサシ:<i>Juniperus rigida</i>)の球果(香料)および幹材(木工用材)の新たな需要開拓を行い商品開発に繋げた過程を紹介する。そのうえで他地域との連携も含めた里山林利用の再構築のための将来的なフレームワークを提示する。</p>