著者
山尾 英一 森山 潤
出版者
一般社団法人 日本産業技術教育学会
雑誌
日本産業技術教育学会誌 (ISSN:02865580)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.223-231, 2016

<p>本研究の目的は,工業高校生の在籍時における職業に対する自己効力感の就職後の変容について事例検討することである。大阪市内のA工業高校工業化学科の卒業生15名(男子13名,女子2名)を対象に,卒業目前となる3月から就職後5ヶ月以上経過した8月から10月に個別面談による半構造化面接及び「工業高校生の職業に対する自己効力感尺度」11項目の調査を実施した。その結果,卒業生の「適応資質効力感」及び「専門性効力感」は,業種を問わず在籍時よりも実際の職業生活を経験しながら,なお維持・向上していく傾向が示唆された。また,就職後の「専門性効力感」の向上要因は,関連業種就職群では習得した知識,技能,資格の直接的な活用経験,非関連就職群では実践的な学習経験による自律性や忍耐強さ,責任感の強さなど汎用的な職務能力を発揮した経験によるものと推察された。</p>