著者
本村 猛能 森山 潤 山本 利一 角 和博 工藤 雄司
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.29, pp.310-311, 2013-11-09

本研究は諸外国の中学校,高等学校学習過程における生徒の「自己評価による意識調査」の診断を通して,情報教育の体系化とその学習内容を検討することを目的とする。対象国は,日本と中国,韓国,他の調査により比較検討した。このとき,文科相の評価の観点と併せてブルームの「認知・精神運動・情意」領域の評価の観点とペレグリーノの評価理論も取り入れた。その結果,情報教育の体系化についての認知度や「情報の科学的理解」について韓国が最も有意に高く,イメージは技能習得から知識へと推移している。我が国の情報教育のカリキュラムは,生徒の発達段階に応じた基礎的・基本的な知識の習得をはかる教授法と実習(技能)を取り入れたカリキュラムを検討する必要性があることが示唆された
著者
黒田 昌克 森山 潤
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.169-172, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
5

本研究では,全国の小学校教員を対象にプログラミング教育の課題や教員研修に対する意識を調査した(n =522).その結果,全体の92.0%がプログラミング教育に関する自己の知識・理解の不足に課題を感じていた.教員研修で得たい情報としては,81.4%がモデル授業の実践事例が必要と回答した.しかし,現任校の情報機器整備の不十分さに課題意識を持っている小学校教員がプログラミング教育のカリキュラム案に必要性を感じる傾向が強いなど,教員研修の内容に対するニーズは,課題意識の持ち方によって異なっている傾向が示された.
著者
村松 浩幸 川俣 純 山口 治 森山 潤
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.41-49, 2009-12-18

本研究は,CMSによる情報共有システムを用いて,中学校技術・家庭科技術分野において,ロボット製作に関するアイデアを模擬特許として共有する知的財産学習を実践した.実践には,2006年度から2008年度の間に計20校が参加した.実践の結果,(1)CMSの活用により複数データベースの連携と管理作業の軽減が図れた.(2)共有された特許情報の進歩性,有用性を評価した結果,アイデアの質が年々向上していることが確認された.(3)抽出した中学校1校の生徒を対象に,知的財産に対する意識の変容を調査した結果,「F1:アイデア共有の価値認識」,「F2:創造的活動の意欲」,「F4:発明への関心」,「F5:知財の尊重」の4因子において事前・事後間の有意な伸びが確認された.(4)使用した情報共有システムに対して生徒は,アイデアの発想や製作上の課題解決,工夫する意欲の向上に有用であったと回答した.以上の結果から本実践の有効性が検証された.
著者
阪東 哲也 市原 靖士 森山 潤
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.25-32, 2015 (Released:2017-03-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究の目的は,健康維持に関する情報モラル意識として,情報機器使用時の身体疲労への配慮及びインターネット依存傾向を取り上げ,個人内特性との関連性について検討することである.大学1年生136名を対象に,個人内特性として自己効力水準を取り上げた調査を実施した.その結果,健康維持に関する情報モラル意識の形成には,自己効力の高さが個人内特性として重要な役割を果たしていることが示唆された.とりわけ,自己効力水準の低い男性は,情報行動時の健康維持に対する配慮意識が低下しやすいと共に,インターネット依存傾向に陥りやすい傾向を有することが明らかとなった.
著者
黒田 昌克 森山 潤
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.43-54, 2018 (Released:2018-04-14)
参考文献数
14

本研究では,全国の小学校教員を対象にプログラミング教育の意義の感じ方や育成を目指す資質・能力,背景となる社会観に対する意識などを調査した(n=522)。その結果,「プログラミング的思考」,「さまざまな現実的な問題をコンピュータで解決できるような形式の問題に変換する力」,「モデル化やシミュレーションができるように,データを変数として扱えるようにする力」等の資質・能力(思考力等),「コンピュータの働きをより良い人生や社会づくりに生かそうとする態度」等の資質・能力(態度),「今後の社会において,コンピュータを作業の効率化を図るために使うより,創造的な活動に使うことの方が重要になる」等の社会観がそれぞれ小学校教員のプログラミング教育に対する意義形成に寄与していることが明らかになった。
著者
宮川 洋一 福本 徹 森山 潤 MIYAGAWA Yoichi FUKUMOTO Toru MORIYAMA Jun
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.89-101, 2009
被引用文献数
3

近年,「青少年が利用する学校非公式サイト(匿名掲示板)等」,いわゆる「学校裏サイト」の存在が話題となっている.平成20年4月に公表された文部科学省スポーツ・青少年局青少年課による調査(2008)では,このようなサイト・スレッド数は38,260件に上ることが明らかとなった.また,抽出調査した書き込みの2,000件の内,「キモイ」「ウザイ」の誹謗・中傷の32語が含まれるものが50%,性器の俗称などわいせつな12語が含まれるものが37%,「死ね」,「消えろ」,「殺す」など暴力を誘発する20語が含まれるものが27% になることが確認された.高度情報社会の影に対する教育の必要性は,多くの研究者が述べているが,社会問題化している学校における「いじめ問題」とインターネットをはじめとする情報通信環境の普及が絡み合い,情報モラル教育は新たな段階をむかえている.これまでも,義務教育諸学校では,情報モラル教育,メディアリテラシー教育などを通して,高度情報社会の影の部分を指導するとともに,教育活動全体で推進する道徳(道徳の時間も含む)などを通して,基本的な生活習慣や人間としてしてはならないことなど,社会生活を送る上で人間としてもつべき最低限の規範意識,自他の生命の尊重,自分への信頼感や自信などの自尊感情や他者への思いやりなどの道徳性を養う指導を継続している.しかし,児童・生徒を取り巻く環境は急速に変化しており,携帯電話に代表されるネット端末の普及は「学校裏サイト」などへの関わりの温床となっていることが,容易に想像できる.これまで以上に,高度情報社会の影に対する学校教育のあり方,言い換えれば,学校における情報モラル教育の重要性が増してきたといえる.特に,義務教育では,学習指導要領改訂の時期となり,これまでの研究を整理し,今後の課題を明確にしておくことは,意義あることと考えられる.一般に,義務教育では,児童・生徒の実態把握→カリキュラムの立案→教材の選定または開発→授業実践及び評価という一連の手順を経て,教育実践がなされる.この観点から先行研究を整理しておくことは,学校現場の教員にとって,有意義なものになると考えられる.これまで,情報モラル教育,情報倫理教育に関する研究を整理したものでは,阿濱(2004)が,高等機関における情報倫理教育,初等中等教育における情報倫理教育という区分で先行研究を概観している.そして,これらの先行研究で取り上げられてきた学習すべき内容を整理し,カテゴリ分けをしている.義務教育における研究の概観もなされているが,既述した四つの観点において,先行研究を整理したものではなく,情報モラル教育,情報倫理教育に関する研究を,既述した四つの観点から整理したものは,管見の限り見あたらない.そこで,本研究では,情報モラル,情報倫理に関する教育の先行研究について,特に義務教育段階に焦点を当てて,児童・生徒の実態把握,カリキュラム,教材開発,授業実践及び評価のカテゴリを設定して整理をした上で,今後の研究を展望することにした.なお,西・本郷(2005)よれば,情報モラルについては,「情報倫理意識に基づき,個人の自主的な判断,自己の内的規制ないしは自己統制による,個人の行動や態度」と捉え,情報倫理は,「情報社会における人間のあり方にかかわる問題として,人間社会としての共同体を存続させるための道理あるいは社会規範」と捉えている.一方,越智(2000)は,情報モラルについて,「情報モラルという標語とともに言及されていることがらは,すべてこれまで『情報倫理』という言葉で問題とされてきたものばかりである.」とした上で,「情報モラルが,発達段階を考慮して造語された初等中等教育向け情報倫理だと見なすのが自然である」と指摘する.これらの用語には,いくつかの捉え方があることを踏まえつつ,本研究では,基本的に以後「情報モラル」で括り,使用することにする.