著者
山岡 久美子 齋藤 いずみ 西 基
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.412-420, 2006-07
参考文献数
7
被引用文献数
1

札幌市内のA病院で2001年1〜12月までになされた分娩1,008例について,曜日・時刻との関連を検討した。分娩数は,水曜日が最も多く(全体の18.45%),かつ在胎週数34週未満の児と出生体重1,500g未満の児が多く出生していた(それぞれ全体の30,35%)。母児の生命にかかわる胎児心音低下・弛緩出血などの件数は金曜日が最も多く(全体の18.18%),かつ午後14時ころがそのピークであった。また,金曜日には緊急帝王切開(全体の22.77%)・母体搬送(全体の26.09%)が多かった。水曜日に未熟児分娩が集中したのは,以前から入院していたハイリスク児を計画的にマンパワーの手厚い週の半ばに分娩させるためと考えられた。原因の特定には至らなかったが,金曜日に異常分娩が多いことが明らかであった。ハイリスク児出生が同じ日に集中した場合,NICUの負担が過大となる危険性,および土・日曜日に治療・検査を強いられる危険性がそれぞれ危惧された。産科部門・検査部門・NICUの人的資源の配分の際には,このような時間的な要素を考慮すべきこと,地域における関連病院・NICUの相互の連携体制を充実すべきことなどが必要と考えられた。