著者
中井 かをり 齋藤 いずみ 寺岡 歩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
pp.JJAM-2018-0005, (Released:2018-11-30)
参考文献数
18

目 的現在,正常新生児は保険診療報酬の対象外であり,正常新生児への看護人員配置の基準はない。正常新生児への看護の安全性と質を上げるための看護人員配置を検討するための基礎的資料が求められている。本研究の目的は,出生直後から生後4日までの正常新生児に対し,産科の病棟内で実施している看護行為と看護時間を明らかにすることである。方 法産科の病棟を有する3施設において,マンツーマンタイムスタディ法により生後0日は出生直後からの8時間,生後1~4日は午前8:30~16:30までの8時間に看護者が正常新生児に対し実施した看護を111日間調査した。結 果対象は正常新生児64名と看護者122名であった。提供の多い看護行為には生後日数による変動がみられた。平均看護時間は,測定8時間のうち児1人当たりに約2時間を費やし,生後日数間に有意差はなかった。結 論本研究により,正常新生児への看護行為と看護時間が明らかになった。今後,さらに正常新生児への看護に専念できる人材の必要性を検討するためのデータの蓄積が望まれる。
著者
山岡 久美子 齋藤 いずみ 西 基
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.412-420, 2006-07
参考文献数
7
被引用文献数
1

札幌市内のA病院で2001年1〜12月までになされた分娩1,008例について,曜日・時刻との関連を検討した。分娩数は,水曜日が最も多く(全体の18.45%),かつ在胎週数34週未満の児と出生体重1,500g未満の児が多く出生していた(それぞれ全体の30,35%)。母児の生命にかかわる胎児心音低下・弛緩出血などの件数は金曜日が最も多く(全体の18.18%),かつ午後14時ころがそのピークであった。また,金曜日には緊急帝王切開(全体の22.77%)・母体搬送(全体の26.09%)が多かった。水曜日に未熟児分娩が集中したのは,以前から入院していたハイリスク児を計画的にマンパワーの手厚い週の半ばに分娩させるためと考えられた。原因の特定には至らなかったが,金曜日に異常分娩が多いことが明らかであった。ハイリスク児出生が同じ日に集中した場合,NICUの負担が過大となる危険性,および土・日曜日に治療・検査を強いられる危険性がそれぞれ危惧された。産科部門・検査部門・NICUの人的資源の配分の際には,このような時間的な要素を考慮すべきこと,地域における関連病院・NICUの相互の連携体制を充実すべきことなどが必要と考えられた。
著者
中井 かをり 齋藤 いずみ 寺岡 歩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-146, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
18

目 的現在,正常新生児は保険診療報酬の対象外であり,正常新生児への看護人員配置の基準はない。正常新生児への看護の安全性と質を上げるための看護人員配置を検討するための基礎的資料が求められている。本研究の目的は,出生直後から生後4日までの正常新生児に対し,産科の病棟内で実施している看護行為と看護時間を明らかにすることである。方 法産科の病棟を有する3施設において,マンツーマンタイムスタディ法により生後0日は出生直後からの8時間,生後1~4日は午前8:30~16:30までの8時間に看護者が正常新生児に対し実施した看護を111日間調査した。結 果対象は正常新生児64名と看護者122名であった。提供の多い看護行為には生後日数による変動がみられた。平均看護時間は,測定8時間のうち児1人当たりに約2時間を費やし,生後日数間に有意差はなかった。結 論本研究により,正常新生児への看護行為と看護時間が明らかになった。今後,さらに正常新生児への看護に専念できる人材の必要性を検討するためのデータの蓄積が望まれる。
著者
寺岡 歩 齋藤 いずみ 田中 紗綾 佐藤 純子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.82-91, 2019
被引用文献数
1

<p><b>目 的</b></p><p>分娩取扱い病院で約8割を占めている産科混合病棟の,助産師と看護師による分娩期の看護時間と看護行為を明らかにし,助産師と看護師が協働する分娩期看護の安全性の向上に資する示唆を得ることを目的とする。</p><p><b>対象と方法</b></p><p>正期産経腟分娩の事例を対象とした。産婦の入院から分娩後2時間値の測定終了までを分娩期とし,調査員がタイムスタディ法を用いて産婦と新生児に関わった全ての看護者の看護時間と看護行為を測定した。</p><p><b>結 果</b></p><p>調査期間の14日間に10例(初産婦4名,経産婦6名)の分娩があった。</p><p>分娩期の経過時間中央値は467.0分で,1組の母児に対して分娩期に関与した人数の中央値は助産師が6名,看護師は2名,提供した看護時間中央値は助産師が436.5分,看護師が41.0分であった。</p><p>観察された看護行為26項目のうち看護時間の上位3項目は,助産師では「助産診断(産婦の観察)」「看護記録」「直接分娩介助」,看護師では「新生児介助」「間接分娩介助」「(診療,処置の)準備・後片付け」であった。</p><p>助産師と看護師の看護時間および看護行為は,事例の個別性および分娩進行状態に対応して変動がみられた。</p><p>入院から子宮口全開大に至るまでの時間に看護者間の連絡回数が集中しており,情報交換や業務調整が行われていた。</p><p><b>結 論</b></p><p>分娩期に観察された看護行為から,助産師と看護師はそれぞれの専門性に応じた役割分担をしていることが実証された。</p><p>産科混合病棟では分娩第2期までの経過時間に看護者間の連絡を密にして,他科患者への業務調整ならびに分娩準備を行うことが重要である。それにより,分娩第2期・第3期に母児に対し集中して看護することが可能になり,分娩期の安全確保につながることが示唆された。</p>
著者
齋藤 いずみ 遠藤 紀美恵 笹木 葉子 坂梨 薫 成田 伸 水流 聡子
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

目的:分娩時の看護人員配置の現状を把握し、根拠に基づく安全と質の保証された看護人員配置にするために、以下の4病院の分娩基礎データを収集した。地方の複数病院の分娩を集約化した公立病院の産科、専門特化した大規模産科病院2施設、混合科が進む産科の計4病院において、2003年1年間の全分娩事例約2500事例を調査した。文部科学省疫学研究の倫理指針に基づき実施した。方法:カルテ、分娩記録、助産録などからデータべースを作成し、月別・曜日別分娩数、曜日別入院数、曜日別異常分娩数、曜日別母体搬送数、曜日別緊急帝王切開数、曜日別児の体重別出生数、曜日別妊娠集数別出生数など、24時間分布としては分娩数、入院数、緊急帝王切開数、母体搬送数などを調査した。結果:月別分娩数は特に有意な差は見られなかった。曜日別分析:曜日別分娩数はハッピーマンデイ政策などにより、週の中盤に分娩が集中し、有意に人手の少ない週末は少なかった。妊娠週数の早い32週以前の分娩、出生体重1500g未満の異常分娩では、母体と児の安全のために週末に意思決定するためか金曜日に分娩が有意に高かった。特に母体搬送、緊急帝王切開では金曜日に高かった。曜日別時刻別分析では金曜日の午後から夕方までの時間帯に緊急帝王切開や分娩のリスクが高い分娩が多いことが明らかになった。24時間分布別分析:時刻別分析では、管理分娩の傾向が高い施設では日勤帯の分娩が多く、自然分娩が多く介入の少ない施設では24時間に分布していることが、統計的にも明らかになった。緊急帝王切開は人手のいない夜間帯にも少なくない現状である。考察及び課題科学的根拠に基づく分娩時の看護人員配置のデータとして非常に有益と思われる。また金曜日の午後から緊急性の高い児の出生や帝王切開が行われることは産科のみならず、NICUにも本情報を共有することが重要である。NICU の実態調査も必要性が高いと思われる。