著者
鷲塚 靖 山岡 正佳 鈴木 竜矢
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.240-246, 1987-08-25
被引用文献数
1

阿蘇山のミヤマキリシマ群落(第1地点),ミヤマキリシマ,アセビ群落(第2地点),スギ単純林とクロマツ,ヒノキ,スギ,アセビ,ノリウツギ混交林(第3地点)で,P, N, K, Ca, Mg, NaとBHCの分布を調査した。検体は,L, F, H層,植物,ミミズ類,昆虫類,ネズミ類などであった。そのおもな結果はつぎのとおりである。<br>1) 第3地点のF層と第2,第3地点のH層に含まれる6元素の順位はCa>Mg>Na>K>N>Pであった。<br>2) 草本類のそれらの順位はK>N>Ca>Mg>Na>Pの順であり,樹木類のそれは,N>Ca>K>Mg>Na>Pであった。<br>3) 昆虫類のそれは,N>K>P>Na>Mg=Caであった。<br>4) ミミズ類のそれは,N>Ca>K>Na>Mg>Pで,アカネズミでは,N>K>Ca=P>Na>Mgの順であった。<br>5) 草本類におけるN, P, Mgの含量は,火口に近づくにしたがって高くなった。<br>6) Ca, Naの移動と分布は,食物連鎖による移動と考えられ,前者が緑色植物,後者が食植性昆虫までその含量が減少し,その後の移動でこれらは増加した。<br>7) BHCは,L層が最も高く,ついでF層,H層の順になり,樹木類に含まれるそれは,火口に近づくにしたがって,その含量が減少した。