著者
鷲塚 靖 日巻 茂美 楠美 明男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.150-152, 1986-05-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
6

昆虫類58種(台湾産15種,日本産43種),土壌動物,小動物17種(台湾産8種,日本産8種,台湾・日本産1種)に含まれるカリウム,カルシウム,マグネシウム,ナトリウムの含量について調査した。その結果,4元素の含量と分布は昆虫の食性や系統分類学上における顕著な有意差がみられず,土壌動物,小動物のそれらについても同様な結果になった。また,これらの4元素の生態系における移動と分布はリン,窒素のそれらと著しく異なっていた。
著者
鷲塚 靖 山岡 正佳 鈴木 竜矢
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.240-246, 1987-08-25
被引用文献数
1

阿蘇山のミヤマキリシマ群落(第1地点),ミヤマキリシマ,アセビ群落(第2地点),スギ単純林とクロマツ,ヒノキ,スギ,アセビ,ノリウツギ混交林(第3地点)で,P, N, K, Ca, Mg, NaとBHCの分布を調査した。検体は,L, F, H層,植物,ミミズ類,昆虫類,ネズミ類などであった。そのおもな結果はつぎのとおりである。<br>1) 第3地点のF層と第2,第3地点のH層に含まれる6元素の順位はCa>Mg>Na>K>N>Pであった。<br>2) 草本類のそれらの順位はK>N>Ca>Mg>Na>Pの順であり,樹木類のそれは,N>Ca>K>Mg>Na>Pであった。<br>3) 昆虫類のそれは,N>K>P>Na>Mg=Caであった。<br>4) ミミズ類のそれは,N>Ca>K>Na>Mg>Pで,アカネズミでは,N>K>Ca=P>Na>Mgの順であった。<br>5) 草本類におけるN, P, Mgの含量は,火口に近づくにしたがって高くなった。<br>6) Ca, Naの移動と分布は,食物連鎖による移動と考えられ,前者が緑色植物,後者が食植性昆虫までその含量が減少し,その後の移動でこれらは増加した。<br>7) BHCは,L層が最も高く,ついでF層,H層の順になり,樹木類に含まれるそれは,火口に近づくにしたがって,その含量が減少した。
著者
鷲塚 靖 田中 秀俊
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.201-208, 1984-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
6

筆者らは1983年2月から10月まで大分県臼杵市で,クロマツ,スギ,ヒノキ,タケ,の各人工林でリンとBHCの分布を調査した。比較として,同じ地域の自然林(針葉広葉混交林)と長野県燕岳山麓中房温泉のヒノキ林で同様の調査を行った。これらの結果を要約すると次のようになる。1) クロマツ,スギ,ヒノキの各林分でのリンの分布はほとんど同じ値を示したが,タケ林はこれに比べてリンの含量がやや少なかった。2) 各林分で,食物連鎖が進むに従って,リンの生物濃縮がみられた。3) 人工林と自然林でのリンの分布は人工林の土壌の含量が自然林のそれに比べてやや高く,自然林のアカネズミのリンの含量は人工林のそれよりやや高かった。4) BHCの分布はリンとまったく異なり,L層のBHCの含量が最も高く,ついで樹木類の葉のそれであった。樹木類の葉では針葉樹のBHCの含量が高く,その順位はヒノキ,スギ,クロマツと低くなり,タケに含まれるそれは著しく低かった。
著者
鷲塚 靖
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.205-210, 1980-11-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
9

生態系のリンの循環で,昆虫類が果たす役割を明らかにする目的で,59種の昆虫類と,これらの一部についてはその食物に含まれるリンの含量を調べて,食性別および食物連鎖の栄養段階別に比較考察した。分析方法はリンをモリブデン酸アンモニウムと反応させて測定する間接原子吸光法を用いた。検体は野外採集によるものと室内飼育によるものとがあり,いずれも新鮮な材料を用いた。またオサムシ類にヨトウガ,ハスモンヨトウ,モンシロチョウ幼虫を捕食させた実験を行い,リンの含量の推移を調べた。その結果,リンの含量は食糞性昆虫が最も高く5.42(以下ppm),食肉性昆虫3.56,腐肉食性昆虫3.17の順であった。食植性昆虫では花蜜吸収性昆虫2.93,植物吸収性昆虫2.79,樹液吸収性昆虫2.14,食樹性昆虫2.06,食葉性昆虫2.04であった。その他,雑食性昆虫1.33でその値は低かった。いずれの場合も,食物より,それを摂食した昆虫の方がリンの含量が高かった例は本調査の94%を占めていた。また,オサムシ類の捕食実験の結果では,ハスモンヨトウを捕食したオオオサムシの場合を除いて,ヨトウガ,ハスモンヨトウ,モンシロチョウの各幼虫を捕食した場合,オサムシ類のリンの含量は高くなった。
著者
鷲塚 靖 日巻 茂美 楠美 明男
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.150-152, 1986

昆虫類58種(台湾産15種,日本産43種),土壌動物,小動物17種(台湾産8種,日本産8種,台湾・日本産1種)に含まれるカリウム,カルシウム,マグネシウム,ナトリウムの含量について調査した。その結果,4元素の含量と分布は昆虫の食性や系統分類学上における顕著な有意差がみられず,土壌動物,小動物のそれらについても同様な結果になった。また,これらの4元素の生態系における移動と分布はリン,窒素のそれらと著しく異なっていた。